四国遍路 18日目 38番金剛福寺への86kmを歩く その1

岩本寺での朝のお勤めに参加する

 宿坊宿泊者はだれでもお寺の朝のお勤めに参加することができる、ということです。(やっていないお寺もあるようですが)

 めったにない経験なので同宿3名で参加しました。

岩本寺の本堂

 朝の6時から始めるとの事でしたから10分前からスタンバイしていました。一応正式なおまいりとなりますから持っていれば白衣、輪袈裟、数珠、経本を持って参加します。

本堂の内部。写っているのは同宿の二人

 正式な参拝スタイルでなくても全然OK。右の神戸の人は遍路装束を持たずに回っているとの事です。

 お勤めが正座だったらどうしようと危惧していましたが、椅子でした。

本堂の天井画 はじめは気づきませんでしたが同郷の同宿者が気づき教えてくれました

この天井画は名のある絵師の手による、というよりアマチュアの絵描きが複数人で書き上げた、といった印象の絵でした。やや稚拙なところもありましたが、これだけ揃うと見事です。

 和尚様のお勤めが始まりました。最初は焼香だけですが、その後「岩本寺勤行次第」との小冊子に従い、皆で声を揃えてお勤めを行います。「開経偈」から始まり「懺悔文」と続きます。途中からは、経文を3回、ご真言は7回繰り返します。一番声をそろえたかったのは般若心経の部分ですが、ここは太鼓を打ち鳴らしながらの読経となり、リズムなどあまり理解できませんでした。本尊のご真言は遍路では3回、となっていますが、お寺では7回繰り返します。知りませんでした。

 お勤めの前、赤の納札の同郷お遍路に、納経帳を見せてもらいました。

繰り返し納経して真っ赤になった納経帳

 お勤めが終わり、朝食後出発します。(朝食写真は撮り忘れました)

 

38番金剛福寺

 38番金剛福寺まで86km。実際には90km近くあると思います。この行程を3日かけて歩きます。札所間の距離としては四国遍路の中で最長、丸二日は移動のみですから、頭陀袋もザックに仕舞います。

 宿をでて最初のコンビニで水とフローズンのペット飲料を購入、歩き始めます。

最初はゆるい登りです。足のご機嫌は悪くなく、ある程度の速度であれば耐えてくれそうです。

ゆるい登りの国道56号。写っていませんが気温は28度の表示です

 約5㎞で登りの頂上です。峠名は表示ありませんでした。(後で確認したら片坂峠というらしい)ここから標高で約300m下ります。

 今日は国道56号をひたすら歩くつもりです。

時々ある遍路道への誘い

 遍路道の先を見ると、立派な山道です。下りとはいえ、万全ではない足への負担は舗装道路以上ですから、無視して国道を進みます。ですが休憩に適した場所がありません。そろそろ休憩を必要とする8kmになりますが日陰で、靴が脱げて、安全で交通の妨げにならない、といった場所が見当たらず、以前は使っていて今は使っていないと思われる国道への合流道路の斜面を使わせてもらい、休憩しました。 

 休憩後山すそを通り抜けると人家があり、自動車販売店の上には屋根付きの休憩所がありました。すこしガックリしながら歩いていくと

民家の軒先を利用したお遍路さん向け休憩所

 「お遍路さん、お休みください」の看板と、さらに中から「どうぞお寄りください」との声もかけられ、先ほど休んでから何ほどもたっていませんが寄らせてもらいました。70代くらいの男性が日よけの裏にある冷蔵庫を開け、「お好きなだけどうぞ」との事。冷蔵庫の中にはペット飲料やチョコが入っていました。持ってきているフローズン飲料にはまだ手を付けていませんが、手元のペット飲料は残りわずかとなっていたためお茶とキットカットを1つ頂きました。

 少しお話しすると、やはり夏のこの時期は歩き遍路をする方が少なく1日で一人いるかどうか、という日もあるとの事。実は昨日の岩本寺到着前お会いした歩き遍路の方と会い、今日の宿が一緒でしたので、そのことをお話しすると、「そういえば1時間ほど前に休んでいった人がそんなことを言っていたな」との事。単調な道では話し相手がいるとまぎれますが、1時間の差があると同行は無理。宿でお会いすることを楽しみに歩くことにします。

 単調な国道をひたすら歩きます。また8kmの休憩目安が近づいてきました。

お昼時に見つけたたこ焼きのお店

 お昼にたこ焼きも悪くない、と勇んでいきましたが「休業」の貼り札。やむなく店の前のバス停のようなベンチで休むことにしました。

 足の調子を伺うと、少し痛みのでていた右のかかとに水泡ができていました。処置をし、他のところもばんそうこうやテーピングを貼り替え、お昼を食べられるところを探します。休憩中に見たガイドブックの地図では、黒潮町佐賀の手前にローソンがありました。ローソンでいいか、と歩いていきました。

 ローソンの看板が遠くに見えました。併せて道の駅の案内看板も。ローソンと道の駅がほぼ並んでありました。コンビニ飯よりちゃんとしたごはんの方が魅力的なので道の駅へ直行。

かつおのたたきとシラス丼

 高知では何度もカツオのたたきを食べていますが、やはり地の物。はずれがありません。

 道の駅を過ぎてしばらく行くと遠くに海が見えました。

あまりはっきりと写っていませんが海です

 トンネルを通り、さらにはっきりと海が見えました。

きれいな海です

 きれいな砂浜です。土曜日にもかかわらず人影が見えないのは遊泳禁止か何かでしょうか。

 さらにその先には公園もありました。

整備された良い公園ですが人っ子一人いません

 土曜日なのに何で?と疑問に思いました。暑さのせいでしょうか、コロナのせい?

もったいないと思います。

 この公園を過ぎたところにあった休憩所で本日3回目(昼食と無料休憩所をあわせると5回目)の休憩です。飲み水が残り少なくなり、国道沿いだから自販機くらいあるだろうと高をくくっていたらこれが無く、この休憩所では水をちびちび飲みながらの休憩です。休憩後100mも歩かないところで隠れるように置かれている自販機を発見。残りの水を一気に飲み干し、自販機で2本購入、一本はその場で飲み干しました。

 午後4時過ぎ本日の宿民宿たかはまに到着。入り口で声をかけると宿の人がだれかに「来たみたいですよ」と声を掛けているのが聞こえました。昨日お会いした歩き遍路の方がやはり先着していました。風呂、洗濯、足のケアをして夕食です。

今日の夕食はタイ料理。めずらしい 

 この宿はタイ料理のお店も併設していて、宿泊客もタイ料理からチョイスします。また土用丑の日でもありましたからウナギもありました。

 同宿となった歩き遍路の方と話しながらの夕食です。栃木の方で、今回5回目ということですが最初の頃は自転車で回ったそうです。焼山寺への遍路ころがしも自転車を担いで登ったそうで、驚くと「若いころの話ですよ」と淡々としたものでした。いろいろお話しましたが、私の最大の関心事は38番金剛福寺から39番延光寺までのルートについてです。「私が足が万全ではないので負担の少ない四万十市まで戻り、国道56号を行くルートを考えている」というと、あまり遍路が使わない道で、金剛福寺から一旦明日の宿(民宿くくもを予約済み)まで戻り、三原村で1泊、翌日延光寺へ行くのが判りやすいし負担も少ない、とのこと。詳しくは明日も同じ宿なのでそこで相談することにしました。この栃木の方は退職者ですが町内会の役員もしており、その仕事で金剛福寺の後はバスで戻られるとの事です。

 

本日の歩行距離 28.41km(ガーミン駆動時)

本日の歩数  56,470歩 (歩数計アプリによる)