四国遍路 番外編 1日目 歩きだと6日かかるところを1日で回ってしまった

三原村の朝

 お遍路も車となるとやはり運動不足になります。一応この番外編の間は普段と同じように早朝ウォーキングを行おうと、1日目から歩いてみました。

 コースは39番までの遍路道となっている県道21号線。三原から39番までは基本下りですから、往復するとなると帰りは登りとなります。昨日三原村に登ってくる時、それ程の坂ではなかったので登りでも問題ないだろうと、一応、片道4kmの降りと登りをやって、三原村中心部を歩けば10~12kmのコースになるだろうと、4時半過ぎに歩き始めました。この時間は私の地元の長野では薄明るくなる時刻ですが、四国はまだ真っ暗で5時過ぎにようやく明るくなってきました。

5時20分頃の三原村の空。まだ道は暗いままです

 一応ヘッドライトを装着していますので歩くのに問題はありません。3.5kmほど降ったところで道路下の川のそばに公園がありました。

「梅の木公園」との案内がありました

 6時前ですから当たり前ですがだれもいません。この頃から雨が降り始めました。歩く前の天気チェックでは曇りで、雨は降ったとしても霧雨程度と思っていたのですが、結構降ってきています。雨に濡れながら歩き続けるほど物好きではありませんから宿に帰ろうと来た道を帰ります。結局8km弱しか歩けませんでした。

 今日の朝食は7時にお願いしてあります。

森本〇(まる)の朝食。ごはんは土鍋ででてきました

 朝食も野菜中心ですが、卵は三原村産だったり、土鍋ごはんなどこだわった朝食です。お米は自家製のコシヒカリ、とのことですが大変おいしく、2杯いただきました。

 朝食を食べながらこの間疑問に思っていた、宿名の「森本〇」の「〇」の意味を奥さんに聞きました。この近所は森本姓ばかりで「森本〇」は近所で自分の家を区別するために昔から使われていた屋号をそのまま宿名にしたのよ、とのお話でした。

 

39番延光寺

 宿を7時半過ぎにでて高知県最後の札所延光寺に向かいます。カーナビの電話番号によるピンポイント設定ですから迷う心配はありません。

延光寺山門

 8時少し前に着きました。駐車場には県外ナンバー(どこの県か忘れました)が1台停まっていたので境内で少し話せるか期待したのですが、だれもいません。ひとりでお参りをしました。お参りの途中から小雨が降ってきました。昨日のような降り方ではありませんから傘も必要ありません。今日はこの車遍路で最長の170㎞以上の移動で、合計7つの札所を回る計画です。先を急ぎ車を走らせます。

 

40番観自在寺

観自在寺山門 シンプルですが風格があります

 この寺から愛媛の札所になります。9時前に到着しました。ここも遍路装束は私だけで他は2,3人の観光客らしい参拝者がいるだけです。納経をすませ国道56号を進みます。次の41番まではガイドブックによれば約50kmの距離があります。距離はありますが渋滞もなく順調に進みました。

愛媛愛南町の海

 途中56号線は海沿いを通ります。小雨ですからあまりきれいには写っていませんが、なかなか良い感じの道です。

 海から離れ山道を行く道は遍路道にも重なっています。遍路なのか判りませんがリュックを背負って歩く人を2人見かけました。そのうちの一人はゴム草履のようなものを履いています。雨の中ですから靴で足がふやけることはないでしょうが、長い距離は大丈夫だろうか他人事ながら心配になりました。

 ナビの案内に従っていると途中から自動車専用道(松山自動車道)に入りました。

41番龍光寺

 自動車道の三間ICを降りて間もなく龍光寺に到着です。

龍光寺 山門はなく、奥に鳥居がありますからここで本当に良いのか迷いました

 龍光寺は小さなお寺で、重厚な山門もなく、奥の神社の石段下が境内になっています。境内も広いものではなく駐車場には観光客らしき車が2台。境内でお会いしましたが挨拶だけしました。納経の時、途中の海で見た養殖風景を話し、何を養殖しているのかお寺の人に聞いたところ「真珠か何かじゃないですか」とそっけない返事。自分で調べるより他なさそうです。

 次の仏木寺までは2.6km。ナビでは3km強の案内です。

42番仏木寺

仏木寺山門

 この寺にも観光客らしき人はいましたが、しっかりお参りするなど遍路のような人はいませんでした。43番には仏木寺前の道をそのまま行くと思いきや、ナビは一旦42番そばの三間IC経由のコースを示します。指示通り自動車専用道を1区間だけ走り、西予宇和ICで降ります。ガイドブックの地図を見ると仏木寺前の道は山越えとなるため歩きだとそうでもないのですが車だとかなりの遠まわりとなる道でした。

43番明石寺

明石寺山門

 この寺にもお遍路さんらしき人はおらず、本堂前のろうそく台は清掃中のようで使えず、大師堂前のろうそく台で本堂の線香も火を点しました。

 ろうそくと言えば今回の車遍路から新たなグッズを持参しています。

ダイソーで購入した調味料入れ。大きい穴からろうそくを振り出します

 歩き遍路の時はろうそくの紙箱をそのまま使っていたのですが、雨でよれよれになりもっとしっかりしたろうそく入れを探していました。使ってみるとなかなか便利。時々ろうそくが穴の前で横になり出ずらい時がありますが、振っているとろうそくの芯が顔を覗かせるので摘まみ上げます。

 44番までは本日最長距離となります。ガイドブックの歩き遍路で70.5㎞、ナビでは90kmほどの表示です。車だと自動車道が使えますから昼時も近いため西予宇和ICそばの道の駅「どんぶり館」でお昼にします。

道の駅どんぶり館。四国ではICそばには必ずと言ってよいほど道の駅があります

 結構大きな道の駅で、農産物直売やレストランがあります。レストランは「どんぶり館」の名の通り普通のメニューもありますが押しは丼ものです。

私の注文した海老かつあんかけ丼

 入店したのは12時前でまだ空いていたのですが、12時になると次々来店しほぼ満席になりました。海老かつあんかけ丼は薄味で美味しく頂けました。

 西予宇和ICから自動車道に乗り松山市方面に向かいます。歩き遍路の道はほぼほぼ一直線に44番、45番のある久万高原を目指しますが、自動車道は松山市経由の迂回したルートです。午後になり雨も上がり晴れ間もでてきて気持ちのよいドライブとなります。

 歩き遍路と車遍路の違いについて考えた

 自動車道は歩き遍路にとってまったく縁のない場所です。一般の国道などでは遍路や歩きのウォーカーを見かけることもありますが自動車道では当たり前ですがまったく見かけません。少し歩き遍路と車遍路の違いについて考えてしまいました。以前から歩き遍路は線で接点を持ち、車遍路は点で接点を持つと漠然と考えていましたが、それだけではなく、歩きはプレーヤーとして競技場に立ち、車遍路は観客としてそれを見る、といった違いもあるのではないか、ということです。足摺岬までは歩きでしたからまさに「遍路をしている」実感がありましたが、車で回ってみるとその疑似体験をしているような感覚です。自身はプレーヤーとして汗をかいているわけではないが観客のようにそのプレーに一喜一憂する、そんな感じです。車遍路もまだ一日目ですからまた違った感想も生まれてくるかもしれません。

 松山市近くのサービスエリアで休憩です。

伊予灘サービスエリア

 このサービスエリアにはこんな場所もあります。

「恋人の聖地」だそうです

 ハートと鍵のモニュメントですからまあそうなんだろうなという感想ですが、室戸岬灯台も「恋人の聖地」の看板があり、四国全体や日本全体ではいったい何か所「恋人の聖地」があるんだろうと思わず考えてしまいました。

 松山で自動車道を降り、久万高原に向かいます。国道33号で、高知県に抜ける幹線道路です。一部バイパスとして自動車専用道となっていますから順調に進めます。

 44番大寶寺

 久万高原中心部の国道から少し入ったところに大寶寺があります。駐車場からは約10分の登りとの案内で、金剛杖も車から降ろし向かいます。途中上から降りてくる高齢のお遍路装束の人に会い声を掛けました。奈良から来た逆打ちのお遍路さんでした。

山道の参道。今日初めての山道でしたから結構息が切れました。

 

大寶寺山門。大わらじが出迎えてくれます

 山門を過ぎ、まだ登りが続きます。

最後はお決まりの長い石段

 歩き遍路だとこの石段をみるとガックリくるのでしょうが車遍路だと体力が余っていますから特に問題なく登れます。

 この寺にも大きな宿坊があり、納経してもらった女性に「宿坊はやっていないのですか」と聞くと「団体さんがあればやることもあるけど」との返事。やはり四国88か所の札所では団体、特に先達さんや全国のお寺さんが連れてくる団体さんで成り立っているんだなと思いました。これでちょうど88か所の札所の半分を回ったことになります。

今日最後の45番に向かいます。

45番岩屋寺

 ガイドブックの地図で見た時には久万高原の中心部から登っていく道を想像していましたが、一山超える道でした。

 この駐車場は有料で300円です。係りはおらず、郵便受けのような箱にお金を入れるシステムでした。境内まで20分の看板です。また金剛杖に活躍してもらいます。

参道途中の小屋掛けの店

 参道途中の小屋掛けの店は他の札所ではあまり見かけませんでした。何店舗もありますがまるでお祭り屋台のような店構えです。

参道はコンクリートや石段です

 登りの参道ですが特に歩き辛さはありません。

やや簡素な印象の山門。ここで参道の半分程度です

 この寺は参道でも観光客とすれ違うなど、今日一番人の多い寺でした。

崖の下に建物が見えてきました

 お寺にしては何か作りが違うな、と思いながら近づくと社務所でした。

岩屋寺の本堂

 岩屋寺の建物はすべて崖下にあります。

本堂横の大師堂奥にある山門。先ほどの山門よりはるかに立派です

 納経の時に係りの人に聞くと岩屋寺は大寶寺の奥の院として創建されたため、大寶寺から山を越えてくる道が本来の参道だった、とのことでこちらが本来の山門とのことです。

 納経所で私と一緒にお参りしていた若い男性に声を掛けました。神奈川から順打ちで回っているそうで、それならまたどこかでお会いすることもあるかもしれませんね、と言って別れました。

 これで今日予定していた札所は全て回りました。今日のコースは歩き遍路のガイドブックでは約170km。カーナビ案内の車での移動距離は220kmを越えています。歩きなら最低6日必要なコースです。車遍路は早い。時刻は3時半過ぎ。久万高原中心部の宿に向かいます。今日の宿は「やすらぎの宿でんこ」。民宿と旅館の間のような施設で、レストランも併設されています。家庭用ではなく4,5人は湯船に入れる大きなお風呂で汗を流し、洗濯をして夕食です。

鮎がおいしく焼酎2杯いきました

 ご飯も食べ、7時には眠くなって就寝です。

 

一応今日の歩行距離  7.71㎞ (ガーミン稼働時 三原村ウォーキング時)

 今日の歩数  24,127歩 (歩数計アプリによる)