四国遍路 再開13日目 高知・安芸自転車道はいろいろな顔を持っていた

 今日の予定は28番大日寺をお参りし、お寺そばの宿に入る約25kmの予定です。

ゆっくり出発、でも良かったのですが、天気予報では午後3時頃から雨が降る、とのことでしたから早めに出立する事とし、7時にホテルを出ました。

 朝食は奈半利のように喫茶店が早くからやってくれていれば、そこに入ろうと考えていましたが、あんなに早くから開いている店など無く、ローソンを見つけそこで朝食を購入しました。

豪華な朝食もあればそうでない朝食もある

 このローソンはイートインコーナーが無く、店舗前で食べました。隣で煙草を吸っているおじさんが何か話しかけてきましたが、何を言っているか良く判らず、適当に相槌を打っていました。

 変化に富んだ自転車道を行く

 55号線をしばらく行くと、高齢の女性から声をかけられ、「この先に自転車道路があるからそこを歩けば車も通らず危なくないよ」との教え。この間の教訓で地元の人のアドバイスは従うべし、がありますから早速自転車道に行こうとしましたが通行止めの案内。やむなく55号をそのまま進むと工事をしているような箇所があり、その先は自転車道が通れそうでした。

防波堤の修復工事か何かに見えました

 前からくる散歩中の高齢男性に台風か何かの災害で壊れたのでしょうか」と聞くと「自動車道の工事で埋め立てをやるため」との返事でした。

 自転車道路ですが行きかうのは散歩中の歩行者ばかりです。時間が早いせいもあるかもしれません。

 しばらくは防波堤の基礎部分と思われるところを進みます。

防波堤が低いところでは太平洋が見渡せます

今日初めての休憩は赤野自転車道休憩所にしました。

太平洋が見渡せる高台にあります

 この建物の横にはトイレと、公園にあるような水飲み場がありました。上向きに噴き出す水飲みの蛇口を開けすぎて盛大に水を浴びました。

  ここでは靴を脱ぎ、石の床に直接足を接し足を冷やします。石の床はこうした足のケアには向いているな、と感じました。

自転車道沿いの数か所で見つけた看板

 確かに看板の裏手にまだ青い実の柿の木がありました。その季節ならうれしいお接待でしょう。

琴ケ浜というところは松林が広がっています

 この松林の中を歩くのは誠に気持ちよく、海風と松の日陰で涼しささえ感じました。

またこんな施設もありました。

「琴ケ浜松原野外劇場」だそうです

 興味はありましたがトイレだけお借りして先を急ぎました。

岬の小高いところでは切通があります

 更に

トンネルだってあります

 自転車道路のトンネルは当然自動車も通ることは無く、涼しく、得難い体験でした。

ただ、ここで「自転車道路にわざわざトンネルを掘るか?」との疑問が湧きだしました。トンネルの形状も人や自転車用には天井が高すぎます。そこで思い当たったのが土佐くろしお鉄道です。今は高架の上を列車が走っていますが、以前はこの自転車道を走っていたのではないかとの予想です。(後で調べてみます)

 線路の後利用であればトンネルもあるでしょうし、比較的直線的なコースになりますから自転車道向きです。またアップダウンも極力抑えるはずですから、歩きにも優しくなります。

 自転車道の前身の解明はさておき、昼食休憩は「道の駅やす」にします。祭日ですから結構車が止まっていました。現在11時過ぎです。

広い道の駅で物品販売に食べ物やさんも3店舗ありました。

 昼食の場所ですが、ハワイアンのお店、インド料理のお店、和食のお店、とありましたが、和食のお店はまだ開店しておらず、インド料理のカレーはその命のスパイスの香りが判らない(脳挫傷の影響で嗅覚がまったく無くなった)人ですからパスする、となるとハワイアンのお店しかありません。

こんな感じの店構え アイスクリームが人気のお店のようです

 ハワイアンの店にお遍路が入って馴染むのか?本当に悩みましたが背に腹は代えられず入店。ロコモコDON(丼)を注文しました。

スプーンで最初の一口を掬おうとして写真の撮り忘れに気づきました

 お遍路の「托鉢」を見て考えた

 このロコモコDONを食べながらずっと考えていたことがあります。

 実はこの道の駅に入ってすぐ、かなりくたびれた装束の男性のお遍路さんに会いました。同じ遍路同志ですから挨拶して少しお話しするか、と近づいたのですが、そのお遍路の手に托鉢用の鉢があるのに気づきました。僧でもない一般の遍路が「托鉢」をしているのです。これはお近づきになるべきではない、と判断し「お元気で」とだけ挨拶して離れました。

 このブログの前半6日目で書きましたが、民宿の主人が新人の僧侶の托鉢に対し「托鉢の目的はお経を唱えるその家の幸せを一心に祈ること。その繰り返しの中で先にお経をあげた家から何か届けられることもある。それが托鉢じゃあないのかい」と説教した話を思い出したからです。僧でもない一般の遍路が托鉢の鉢を持って、人出の多い施設にお経も上げずに立っていたら、それは托鉢とは全く別のものになってしまいます。ひょっとしたら本人は効率的に「お接待」を集めようと考えているのかも知れませんが、一般の遍路はお接待も托鉢鉢をもって受けるものではありません。これは私自身が歩き遍路をしていて最も気を付けていることですが、行きかう人には老若男女関係なく挨拶をしています。もちろん無視されることもありますが、多くは挨拶を返してくれます。たまたまそうした挨拶を交わした中でご接待をしてくれる人がいる、ということだと思います。自分の住む町を通る遍路はよそ者です。決して敵意や悪意のある人間ではない事を伝えるためにはやはり挨拶がなにより大切だと改めて思いました。

 

大日寺

 道の駅からしばらく歩くと自転車道に別れを告げ、一般道に入ります。こうなると町の案内が頼りです。ありました。

大日寺まであと6.4kmです

 街中にはこんなものもありました。

伊能忠敬の測量による北緯33度33分の碑です。のちに現代科学で計測して正しいことが証明された、とありました。

 この碑を過ぎてしばらく行くと向こうから歩いてくる女性に、改めて元気よくあいさつしました。すれ違ってしばらくすると後ろから声を掛けられました。振り向くと先ほどの女性。お接待でした。

お接待のお菓子。「二人へんろ」という名前です

 先ほど、ロコモコDONを食べながら考えたことが正しかったといわれたような気がしていつも以上にうれしく、本当に心からお礼をしました。

 香南市内を歩いているとこんな施設を見つけました。

芝居小屋です

 決してすたれている風には見えず、まだ現役の芝居小屋です。この辺は街中も情緒があります。

できれば時間をかけて見てみたいと思わせる一角でした。

 

28番 大日寺
 大日寺に到着しました。参道を見ると結構登ります。200m以上あるようなので

これを見て挫けました

 一旦、宿に荷物を置いて登ることにします。今日の宿は民宿喫茶きらく。喫茶部分の入り口に本日の宿泊者と部屋番号が書いてあり、勝手に部屋に入り、勝手に風呂に入り、勝手に洗濯してOKとのことなどでお言葉に甘えました。荷物を置き、頭陀袋だけを持ち、先ほどの斜面を登ります。

大日寺山門。実はあまりに目立たなく通り過ぎてしまいました

 今までの札所の中で最も目立たない山門です。山門の先に本堂と大師堂がありました。

 宿に戻り、まず風呂、そして洗濯です。併せてこのブログを書き始めました。

同宿がもう一人いる、とのことでしたので遍路さんかと思っていたらそうではなく、普段は大阪にいて、今回はたまたま地元の夏祭りで帰ってきた人でした。

 夕食は

魚、肉、野菜。申し分なし。そばもあり、うれしかったです

 焼酎を飲みながら食べているとママさんがお遍路さんへのプレゼントとして曲を弾いてくれました。

ママさんは60歳過ぎに独学でキーボードを覚えたとのことです

 昔の歌の演奏に続き、オリジナルの「母の歌」そして「お遍路の歌」を弾いてくれました。それぞれ歌詞があるのでお遍路の歌を歌ってくれました。なぜか涙が流れてきてママさんに昼間の道の駅の事、民宿の主人の新米僧侶への説教の話などをしました。

 ママさんによればこの近くでも同じような格好をしてスーパーなどの店頭で「托鉢」をしている人を見るそうです。私が今日感じた事、思ったことを話したらとても賛同してもらえました。

 同宿の人も会話に参加し様々な話題で盛り上がりました。

 明日は雨の予報ですが5時出発で先に向かいます。

 

追伸

 自転車道ですが、やはり鉄道の廃線後を一部利用しているようで、サイクリングマニアだけでなく廃線マニアの中では知られた自転車道とのことです。(ネット情報より)」

 

 今日の歩行距離 25.9km(ガーミン駆動時)

 本日の歩数   48,896歩