四国遍路 再開12日目 神峯寺の「まっ縦」に挑む

奈半利の朝

 今日は27番神峯寺を打って宿に向かう行程です。神峯寺は高知の札所最大の難所「まっ縦」と呼ばれる直線的な坂があるとのことです。麓からは往復7km。重いザックを背負って登り降りするのはたまらないので、先人のブログにあった預かってくれる所にザックを預け、頭陀袋と水だけで登るつもりです。

  朝起きてブログのアップをした後、足のご機嫌伺にホテル周辺を歩いてみました。

川沿いに海に向かうと漁港がありました。

奈半利漁港です。少し大型の漁船もいて遠洋漁業をする漁船かもしれません

 この間室戸半島で見てきた漁港の中では大きな部類に入ります。大型(といってもほかの漁船と比べて)の漁船も2隻停泊していました。

 朝の6時前くらいでしたから地元の人も朝の散歩を楽しんでいました。

2km歩きましたが、足のご機嫌は良くもなく、悪くもなく、といったところです。今日の行程には問題ないと判断しました。

 ホテルに戻って朝食です。

豪華な朝食。でも食材の種類は我が家の朝食と大差ありません

 私は一日の食事の中で朝食を最重視しています。特に食材の種類は1食で15種以上を目標にしています。そのため具だくさんの味噌汁が登場するわけです。

 この日のホテルの朝食では手前の「まぐろ節」の削り節が良かったです。ごはんに振りかけ、少しお醤油を垂らすとごはんが幾らでも進む感じでした。

 

街並みなど

 8時過ぎにホテルを出発しました。国道55号を主に歩きます。奈半利町を歩いていて、道路沿いの喫茶店などがその時間なのに結構営業していることに驚きました。通常そうした店は10時開店と思っていました。お遍路にとってはありがたいですが、早くから店を開けることがお遍路に関係あるかはわかりません。

 国道を逸れ、人家の多い旧道を歩くこともあります。こうした道では街並みが素敵なところがあります。

壁の鏝絵が立派です

 この辺りの家は2階建てでもその高さは他の地方より高い、と感じました。また街並み保存も力を入れているようです。ネットで調べるとこの地方は室戸の山中から木材を切り出し、港から出荷させたため、木材問屋、廻船問屋が多かった、とのことです。そういえば室戸からの道中で結構大規模な木材集積所を何か所も見てきました。こんなものも見つけました。

道路沿いの多くの家に掲げてあった「のれん」のようなもの

 初めて見るものでしたがしばらく行くと判りました。

八幡神社の祭礼があるようです

 神峯寺への道「まっ縦」

 神峯寺への登り口が近づいてきました。先人のブログによれば唐の浜にあるドライブインと地場物産品販売所で無料で荷物を預かってくれる、とのことです。ドライブインだと山から下りた時分にはお昼ですから都合が良いと、55号線沿いを探しますが、ありません。地図で示す場所にはそれらしい(つまり駐車場付き喫茶兼食堂)建物がありますが営業していません。結局地場物産品販売所にお願いに行きました。こちらは壁にも無料で預かる旨掲げています。

 荷物を預け、一休みし、いよいよ「まっ縦」に挑戦です。ここは土佐一の難所とされており、片道3.5kmの登りが続きます。地場物産品販売所をでて山の方に向かい、はじめは川沿いに歩きます。

川を逸れ、やや急な坂を登ります

 尾根筋のようなところにでるとそこからは尾根沿いに道は続いています。

尾根道ですから道はほぼまっすぐです。

 神峯寺へ続く直線的な山尾根がそのまま参道となっている訳です。こうした道が神峯寺のある山まで続きます。尾根道ですからそれほど急な坂ではありませんが、登りは登りですから息を弾ませ進みます。山に近づくと、この道は現在の車道ですからウネウネした道になりますが、歩き遍路の道は違い、やはりまっすぐ登らせます。その登り口は

歩き遍路用の登り口 心が動きましたが自動車道を登ります

 歩き遍路用の道はマムシがでるそうで「マムシ注意」の看板がでていました。あえて危険と辛さにチャレンジする必要はない、と車道を進みます。この車道も坂が急になってきましたから途中で何度も立ち止まり息を整えます。その横を車遍路や観光客の車が追い越していきます。

あと1kmほどのところにある休憩所

 平地でしたら1kmなど何ほどの事はなく、通り過ぎる所ですが、山道の1kmは違い、ありがたく休ませていただきました。

 

27番 神峯寺

 神峯寺の下に大きな駐車場があり食事もできそうな休憩所がありました。この駐車場から更に登ると神峯寺の山門がありました。

歴史を感じさせる神峯寺山門

 

山門には極彩色の阿吽金剛力士が鎮座しています

 山門をくぐりしばらく行くと境内に入ります。

落ち着いた感じの境内です

 

本堂や大師堂は更にこの石段を登った先にあります

 本堂のお参りをすませ、大師堂をお参りする際、ご夫婦とみられるお二人に「どちらから来られましたか?」と声を掛けました。奥様(とみられる方)が愛媛で、恥ずかしながら初めての遍路だとのこと。私の出身地や年齢を聞かれ、長野県で66歳と答えると奥様(とみられる方)が「ほら」という感じでご主人(とみられる方)に目配りします。ご主人(とみられる方)は私よりやや高齢にお見受けしましたが、感じではもう少し早くに遍路を決意すれば歩きでもできたのでは、というように受け止めました。またお嫁さんが長野市出身とのことで、愛媛の札所の事などお話ししました。

 神峯寺には名水がある、として有名です。本堂への石段の右手に滝があり手水として使っているのですがこの滝が本来の名水とのことで、納経所の女性に「飲んだりペットボトルにいれるならそちらをお勧めします。」と言われ手水用の柄杓をよく洗い、何杯も飲ませていただき、ペットボトル(凍らせたアクエリアスを持ってきていてまだ少し凍ったところが残っていましたが)にも入れさせてもらいました。

 ザックを預けた地場物産品販売所へ戻る道すがら、先人たちの遍路ブログで「どこがまっ縦だったのか良く判らない」といった記述があったことを思い出しました。私は街道歩きをしますが、昔の街道も峠に向かってほぼ直線的に登る道が多いことは気づいていました。ただそうした峠道は主に沢沿いに直線的に登ります。これは昔の旅人が飲み水確保に便利なように道づくりをしたのではないか、と想像していました。この神峯寺への道は尾根をまっすぐに登ります。この点が街道のまっすぐな峠道とは異なる点です。尾根道は水の確保も大変です。尾根道に登ったらまず水の確保はあきらめなければなりません。そうした昔の遍路が神峯寺の湧き水を「名水」と讃えたのは判るような気がします。 「尾根道」そして「水」が「まっ縦」と呼ばれる難所の理由だと思いました。

 地場物産品販売所で預かってもらったお礼をし、登る前の休憩で飲んだ馬路村のゆずドリンクがおいしかったので自宅に1ケース送ってもらうよう手配をし、今日の宿に向かいます。ドライブインでの食事、との計画が脆くも崩れさっていましたが、国道沿いなら食べ物屋はあるだろうと思っていたところ、これがありません。ローソンを見つけイートインコーナーがやっていればここでもいいか、と入店しました。イートインコーナーがあり、レジで聞くと飲食休憩OKとの事でしたから、ここで昼食兼休憩にしました。

 靴を脱ぎ足の様子も見ましたが、特に問題はなさそうでした。一休みした後55号を安芸市に向かいます。途中バイパスとして作られた新しいトンネルがあり、明らかに歩行者は歓迎していない様子で、しかたなく旧道を進みます。看板に「道の駅大山」とあり、そこでの休憩を楽しみにしていましたが、バイパスの影響でしょうか、物販飲食の営業はしておらずトイレと休憩所の機能だけでした。この道の駅(跡)からホテルに電話し、あと1時間ほどで着いてしまうがチェックインは可能か問い合わせしました。大丈夫とのことでしたからそのまま歩き、3時過ぎにホテル到着です。でもフロントには誰もいません。フロントのカウンターのトレイにカギと宿泊カードがあり、その横には御用の方はこちらに電話を、との案内があったため電話すると、宿泊カードに記載して部屋に入ってもらって結構とのお話。部屋に入り、そうはいってもランドリーなどどこにあるか判りませんからホテル内を偵察。1階駐車場の脇にコインランドリーを発見。

 風呂で汗を流し、コインランドリーで洗濯をし、5時半に夕食に行くためフロントで声をかけるとやっと中年女性のスタッフが現れてくれました。宿代の清算を済ませ、フロントカウンターにあるホテル周辺地図で今夜の夕食場所を調査。台湾料理のお店を発見し、頭は急に中華モードに突入しました。お遍路での食事は和食が中心でしたから中華料理が恋しくなっていたのでしょう。早速向かうとこじんまりとした店構えの台湾料理店でした。メニューを見ると

料理2品+飲み物1杯1080円、料理1品飲み物2杯でも同じ金額

 ちゃんとした台湾料理のメニューもあったのですがそんなものには目もくれず、早速、都合料理3品、飲み物3杯で注文しました。料理はにらの卵炒め(これはおいしい)、レンコンのから揚げ(いまいち)、麻婆豆腐(片栗粉が多めでしたが味はおいしい)の3品。飲み物は生ビールと焼酎2杯。メニューには+300円でお好きな麺類も、とありましたがそんなものが入る胃の余地はありません。会計はしめて2160円。満足の夕食でした。

 

今日の歩行距離 25.4km (ガーミン駆動時 朝の散歩は除く)

本日の歩数 52,949歩 (歩数アプリによる)